転職経験者に学ぶ!職種別転職体験談

業界内の複数の種類を経験することは、時代の変化に対応するための柔軟性を育む強みになると感じます。

1つ星 0
読み込み中...
Mさん / 38歳 / 男性 / 静岡県
転職前:トレーラードライバー/年収550万円
転職後:トレーラードライバー/年収650万円

転職成功

-転職前の企業での業務内容を詳しく教えてください。
主に自家用車の、新車や中古車を陸上で工場などから運搬する陸送業務がメインでした。
新車のメーカーはトヨタ、スズキ、スバル、マツダ、フォルクスワーゲン、アウディ、ポルシェなどが主な荷物でした。
中古車陸送は、主に自動車のセリなどを行うオークション会場から積み込み、各中古車販売店や、ディーラーなどに陸送しました。
また引越し業者から依頼され、県外などに引越すお客様のマイカーを陸送することもありました。
-転職を考えたきっかけを教えてください。
私の勤務地の最寄りの工場 (トヨタ自動車東日本)が新車の生産を中止し、東北などに集約することになり、2015年から5年ほど仙台に出向してましたが、そろそろ地元の静岡県に戻りたくなってきたが、最寄り工場では新車は生産しておらず、仕事量自体も出向前の4割減となっていたため、ドライバー業ではなく仙台出向の後半から携わっていた運行管理業務でないと出向から戻れないとの話になり、私の希望業務がトレーラードライバーでしたので、会社側との相違があり転職を考えました。
最寄り工場の生産中止のため仕事量が減ったことで、希望のドライバーに戻ることを反対されたことは、不満というよりは事実として仕方がないことではありましたが、収入面やドライバーをまだやりたかったこともあり、転職を考えました。
-この業務だけはもっと続けたかったという業務があれば教えてください。
前々職が自動車学校の指導員だったこともあり、トレーラー乗務が未経験の新人さんに同乗し現場で運転や作業の練習に付き合う、いわゆる新人教育がもっともやりがいを感じていた業務でした。
新人さんが日に日に成長する姿を見ることは、自分のことのように嬉しい気持ちになるからだと思いました。
-転職活動はどのように行いましたか?
転職活動時期は、前職の1ヶ月間の有給消化期間の後半から転職サイトを使い行いました。
求人情報サイトの中でも、スタンバイは画面も見やすく新着情報がこまめに更新されるので、それ以外のサイトは使用しませんでした。
求人検索では、私は大型トレーラーの乗務員で、長距離運行で募集している会社に絞って探していましたので、自宅から通える範囲ではすぐに3社のみに絞られました。
3社とも面説に行き、運行内容や勤務地の簡単な案内、乗務するトレーラーなどを面接後に説明していただき私自身の検討材料にもさせていただきました。
特に3社とも経験者のみの募集ではなく、求人サイトには未経験でも歓迎と謳っていましたが、私は乗務経験があるためや、運送会社に有利な運行管理資格があると履歴書にも書いていたため、結果は3社とも内定をいただきました。
そのうち2社をお断りした理由としては、勤務地が静岡県なのに面説に行った2月の気温マイナスが8度の山奥だったり、もう1社は採用連絡時にドライバーではなく運行管理者で入ってきてほしいと懇願されたため、2社はお断りさせていただきました。
運送会社ではその会社の運行に必要な免許の他には、フォークリフトの資格や運行管理資格、危険物取扱者の資格など、そんなに多くはなく、3社に面接に行った感想から、これらの資格や免許があればだいたい希望通りの会社には入れそうな感覚はありました。
-転職後の会社に入社を決めた理由を教えてください。
運ぶ製品に関しては、転職後では未経験にあたりますが、全長のほぼ同じサイズ(全長17.5m)のトレーラーの運転に関しては運転経験が10 年以上あり、勤務時間帯などでも前職就業時のうち、私自身1番合っていた長距離運行での募集を求人サイトから見つけられたことで、あとは面接で勤務内容を詳しく伺い、私のやりたい勤務体系での希望に沿うものだったため入社を決めました。
-転職後の会社での業務内容を詳しく教えてください。
運行業務に使う大型トレーラーは、キャリアカーとほぼ同じ全長の車両(長さ17m)になりますが、常に20t以上の高重量の紙製品や紙製造に使う原料を運ぶため、トレーラー部分の後輪(軸)が3本ある3軸トレーラーというものに乗務しています。
運行内容は、日中に静岡県富士市内にいくつかある日本製紙工場の中から、配車係に指示された工場に紙製品や原料などをトレーラーで積み込みに行き、翌日の午前中あたりに関西方面の主に紙加工工場などの倉庫に納品しに行きます。
特によく行く納品場所としては、滋賀県、京都府が近い部類になり、大阪府が中程度の距離、和歌山県、兵庫県が遠い部類の行き先になります。
帰り荷は、愛知県の製紙工場から翌日納品の紙原料を積んで関東方面に向かいます。具体的には主に東京と群馬県の倉庫に納品しています。
-入社前のイメージと違っていたところはどんなところですか?
キャリアカー乗務時代から、自分に合ってるなと感じていた長距離運行を希望して入社できたので、昔やっていた長距離運行をイメージしていたよりも、はるかに運行計画に余裕があり、運行しているよりも短時間の休憩や休息を取っていることの方が多いときも頻繁にあります。
なぜだろうと考えてみましたら、キャリアカーの長距離運行の場合、運ぶ荷物は主に中古車になり、中古車だと納車先が1箇所にまとまっていることは滅多にないレアなことでした。通常で3箇所、多い時は5箇所、6箇所の受け入れ先店舗などに納車していたので、それだけで朝9時から下ろし場所回って全て回り切ったら夕方になっていることもざらにありました。
それが、転職先の現在の会社では、入社して8ヶ月経ちますが2箇所以上での積み込みや、下ろし先の倉庫が複数の時が一度もありません。
それだけでも朝イチ納品し終わってしまえば、眠ければ夕方くらいまで睡眠休息取ってもいいし、すぐ帰り荷物積みに行ってから翌朝まで好きなところで休息をとることもできます。
徐々に運送業界全体での運行管理は厳しくなってきているので、単純に10年近く前、私がやっていた前職の運行と比べることはできませんが、1箇所積み1箇所下ろしのみということの効率の良さが少なからず分かっていただければいいと思います。
-仕事の難しさ、辛さを感じた点はありますか?またそれはどのように克服しましたか?
前職にはなかった新たな難しさは、トレーラーに積み込む際、リフト作業は工場のリフトマンが全てやってくれますが、そのリフトマンによってコミュニケーションがスムーズにいく人といかない人がいるという点です。
ドライバーがリフト作業をしないということは、その分製品を傷つけたり落下させるというリスクは全くないという点は、メリットととらえることも十分可能ですが、作業パートナーであるリフトマンとのコミュニケーションがうまくできなければ逆に注意され怒られたり、ムッとされたりということはしばしば起こりえます。
具体的状況としては、トレーラーに積み込む際の製品の置き方、間隔などをこちらが指示して伝える場合、リフトマンAさんには、下ろし先の要望で製品と製品はできるだけくっつけないように、間隔あけて積んでくださいと言えば、すんなり理解してくれても、リフトマンBさんになると、何センチか言ってくれないとわかんないよとムッとされてしまうこともあります。
人それぞれ、感覚的、抽象的な指示で理解できるリフトマンもいれば、具体的に細かく指示しないと機嫌悪くなるリフトマンもいて十人十色。当然といえば当然なのかもしれませんが、キャリアカーでは作業から運転まで全て自分一人で完結できていた業種からくると、なかなか全てのリフトマンの特性を掴み、うまくコミュニケーションを取るようになるまでは大変そうだなと思いました。

また、ドライバー職全般に言える難しさとして、私も日々克服中のものとして、精神状態を良い状態に保つことです。
というのは長距離運行の場合、出発前に点呼をしてから数日間ずっと一人で行動しているために体調管理はもちろんのこと、メンタル管理が特に重要と感じています。
具体的には、例えば運転中に事故渋滞が何時間も続いて、下ろし場所に遅れそうな場合、いくらイライラしても到着時間に大差はありませんが、心理的にかなり先急ぎの心理が働きます。
また、そんな中で割り込まれたり妨害されたりすると最悪交通トラブルに発展してしまうケースもよく耳にします。
そのような精神状態に陥ってしまったり、稀ではありますが到着が遅れてそのあとの運行がきつくなってしまっても、誰かが運転を変わってくれるわけではないし、近くに上司がいて励ましてくれるなんてこともありません。
そういった状況下で頼れるのは自分自身の自制心、メンタル管理にかかっています。
私の克服対策の前に、前職で経験した後輩さんの事例が、よくも悪くもこの長距離ドライバーとしてやっていく上での参考になると思い紹介させていただきます。

前職で私は入社3年目くらいから、前々職が自動車学校のインストラクターだったこともあり、新人さんに同乗し運転練習や作業練習に付き合う横乗り教育をする機会を与えられていました。
その新人さんの中で、30台半ばの男性新人Aさんの事例になりますが、そのAさんは直前まで働いていた某スポーツ用品店の営業マネージャーをやっていた中で、中間管理職のさまざまな重圧や上司と部下との板挟みによるストレスから鬱病と診断され、休職の後にそのまま退職し、私のいたドライバー業に転職してきました。Aさんが未経験のドライバー職に転職してきた理由も、彼のイメージの中では当然と言えば当然かもしれませんが、人間関係に疲れてしまったため、鬱症状が改善するまで人間関係の少ない業種がよかったとのことでした。
私もその告白を聞いたときは、ドライバーといっても、全く人間関係がないわけではないが、営業職よりは少ないだろうし、徐々に鬱の症状も改善していくかに思っていたのですが、結果から先に言いますと、さらに悪化してしまいました。

具体的には、まだ私と現場で行動を共にしていた3ヶ月ほどは精神的におかしくなることはありませんでしたが、簡単な運行を一人で任せるようになると、1ヶ月も経たずに精神的に不安定になっていきました。そのときAさんがよく言っていたのは
「すれ違う同業者がみんな僕を睨んでくる、つばも吐きかけられたと思う」
「同僚が全員僕の悪口を言っていて、僕が近づくとみんな急によそよそしく話題を変える」
などと私に頻繁に相談してくるようになり、結局一人で運行させてから2ヶ月経たずに精神的に不安定のため退職してしまいました。
原因で思い当たったのは、どうしても一人の時間が多いと、極度に精神的にネガティブな時期だったりすると、そのネガティブな内容を何度も好きなだけ反芻できてしまうためです。特に運転中は作業などで思考が中断されることもなく、永遠に被害妄想の悪循環にはまれてしまうのです。
確かに、ドライバーは人間関係があまり発生しない環境ではありますが、精神的に不安定になったときに自分なりに良い精神状態を保つための工夫もとても重要になると思います。

私の例で言えば、聞く読書(オーディオブック)などで自己啓発書や心理学本、小説などその時の状況で共感できるもの、何かしらヒントになりそうなものならなんでも聞きます。
ネガティブ思考の悪循環や、職場環境の悩みなどは往々にして、自分自身の偏った状況判断や思考パターンにある場合がほとんどなので、その偏りに気付ければ問題をネガティブ方向からだけでなくポジティブな側面からも満遍なく中立に確認して、問題の全体像が把握できるだけで、すでに悩みなどなくなってしまっている場合がほとんどだからです。
-仕事の中でやりがいを感じた(ている)部分はどこですか?
現職場の社風自体も、新人の自分にもどんどんいろいろな運行を経験させてくれ、1ヶ月目から正規の給料をいただけたこともあり、未経験でも失敗はある程度付きものだから思い切ってやってらっしゃいというアドバイスをもらえたことで、そこまで失敗を恐れず先輩達がやっている運行にチャレンジさせてもらえたことです。
そのチャレンジの中にはもちろん、初回はうまくいかなかったリフトマンとのコミュニケーションも、2回目、3回目と一緒に作業するなかで、最初は私の動きも悪くイライラさせていた人にも、今では雑談する程度の仲になった方もいるので、徐々に円滑な作業ができるようになることがやりがいを感じる瞬間でもあります。
-転職は成功でしたか?失敗でしたか?
成功です。
-なぜそのように感じましたか?
キャリアカーに比べて荷物の重量が3倍近くになったことで、図らずも運賃が良かったため、収入面で大きくアップしていることや、運行計画に余裕があるため、連動して時間にも余裕が生まれたことです。
-この仕事の個人的な楽しみ方を教えてください。
基本的な運行管理上の休息時間をクリアしていれば、どこで休息、休憩を取っても自由なので、出発前点呼をしてからはすさまじく自由度が高い職種です。
そのため、長距離ドライバーというと夜中眠い目を擦って走り続けているイメージがあるかと思いますが、私の今の会社では普通の人の睡眠時間帯(0時なら6時)はしっかり寝ていたいので、それに合わせて出発し、トラックの寝心地の良い布団をひいたベッドで寝ています。
この休息する時に必要な休憩場所を探すことが、自分独自でいくらでも調整できます。例えば、高速道路上のサービスエリアでお気に入りの定食屋があるところを探索したり、一般道で大型が停まれそうなラーメン屋、道の駅などを探す旅をしている感覚があります。
私自身もそうですが、もともと気分転換に旅行している人などがこの仕事をすると、仕事自体が見知らぬ土地で宿泊先や休憩場所、食事場所を探す旅のような感覚を感じます。
このような職業上の特徴から、プライベートでも訪れたことのない遠くの県外のご当地ご飯やお土産などを探す楽しみがありますし、自動車の運転が苦にならない人ならなおさら仕事自体が旅行のようなものという感覚を強く感じると思います。
もう一つは、ドライバーの中には運転中ラジオを聞く方が多いですが、私は昔から大の読書好きだっただめ、今ではとオーディオブックなどのアプリで本を聞いています。
もちろん、安全運転が大前提のため、比較的穏やかに走行できる高速道路などに限られますが、ほとんど高速道路を走行しているため、1週間に2冊から3冊くらいの本を聞けてしまいます。
このため、今日は天気が良くてドライブ日和だから、カズオイシグロの旅小説『日のなごり』を聞きながら走ろうとか、最近リフトマンに注意されて気分が落ち込んだからモヤモヤを解消するための心理学系の本やビジネス書を聞こうなど、その時々の気分や興味のある分野をいくらでも探求できます。
もし語学などに興味がある人なら、2、3ヶ月でリスニングは完璧になるんじゃないでしょうか。
-この転職からどのようなことを学びましたか?
大型トレーラー運行の職場は2社目で、転職も11年ぶりだったので、現職場に入社したときはかなり緊張しましたが、結果的に運送ではキャリアカー業界しか知らなかった状態から、高重量貨物業界も経験でき、運送業界の現場の視点が増えたことで、この先どちらでもやっていけるだろうという、自信や確信のようなものが生まれました。
確かに、一つの分野、一つの会社で長く続けて極める重要性もありますが今の時勢、コンプライアンスの価値観が数年前によかったものが今は禁止されていたり、運送業関係法令も毎年のように変更、改新されます。
そのため、数年前まで毎日当たり前のようにやっていた運行や運んでいた荷物が急にその仕事ができなくなる、その変化スピードの大きい時代だと肌で感じてます。
そのため、ある程度転職を繰り返して、貨物運送業のなかでもいくつかの種類を経験することは、時代の変化に対応するための柔軟性を育む強みになると今では感じています。
1つ星 0
読み込み中...
コメント一覧(0)

コメントする

お役立ちコンテンツ